週末になると、自然と足が向く場所があります。
それは、我が家の田んぼ。
今日は、朝から小雨が降ったりやんだり。
雨上がりの棚田は、空気がしっとりと冷たく、真夏とは思えないほど涼やかでした。
遠くの山からは霧がゆっくりと下りてきて、田んぼ全体が柔らかなヴェールに包まれたよう。
その光景に思わず足を止め、しばらく深呼吸してしまいました。
そして──今日、一番心を揺さぶられた瞬間が訪れます。
我が田んぼの稲に、ついに穂が顔を出したのです。
周囲の田んぼが次々と穂がつく中、
「うちは大丈夫だろうか…」という不安がずっと頭の片隅にありました。
だからこそ、この小さな変化が、胸いっぱいの安堵に変わったのです。
今日の作業は、外周にびっしりと生えた草の除去と、
金網に絡まっていたツタや雑草の撤去。
鎌を振るたびに、絡みついたツタがスルリとほどけ、
その感触と音がなんとも心地いい。
雨で土が柔らかくなっていたおかげで、草も根元からきれいに抜けます。

寺坂棚田は、ここ最近ずっと猛暑にさらされていました。
水の管理にも気を抜けず、朝晩の気温差も稲にとっては小さな試練。
でも今日は、恵みの雨が大地を冷やし、稲たちにも一息つかせてくれたようです。
これからの時期は、稲がしっかりと実を膨らませる大切な時間。
台風や長雨、急な気温変化──どれも稲にとって大きな負担になります。
あとは収穫の日まで、できる限りストレスのない環境を保ち、
ひと穂ひと穂が無事に黄金色に染まる瞬間を迎えられるように、
日々見守っていきたいと思います。

季節は確実に、秋に向かって歩み始めています。
その歩みに合わせて、私の心も少しずつ豊かに色づいていくのを感じます。