三時間かけて、洗面台のシャワーホースを交換した日

静かな暮らし

我が家の洗面台で、水漏れが起きた。

気づくと、洗面台の下にある収納スペースの床に、水が溜まっている。

最初は、溜まった水を雑巾で拭いて、しばらく様子を見ていた。

けれど、数日経つと、また床が濡れている。

どうやら、一度拭けば終わる話ではなさそうだった。

水は、見えないところで漏れていた

原因が分かったのは、水漏れに気づいてから少し経ったころだった。

洗面台のシャワーホースから、じわじわと水が滲み出ていた。

家を建ててから、十年以上が経っている。

おそらく、経年劣化なのだと思う。

洗面台のシャワーヘッドは、家の中でも使用頻度が高い。

毎日の小さな動きが積み重なり、ホースにも長年の疲労が溜まっていたのかもしれない。

原因になかなか気づかなかったのには、理由があった。

洗面台の下には、シャワーホースから漏れた水を受けるための、プラスチック容器が置かれていた。

水が少し滲み出ても、いったんその容器に溜まる仕組みになっていたらしい。

水漏れが起きるまで、そんな容器があることすら、つゆ知らず。

漏れる水の量が増え、受け皿では耐えきれなくなった。

その結果、あふれた水が収納スペースの床に溜まっていたようだ。

家の設備は、普段見えないところで、いろいろ考えられている。

そして、普段は見えないだけに、壊れてから初めて、その仕組みを知る。

今回は、自分で直してみることにした

ハウスメーカーで建てた家の場合、こうした設備の交換を依頼すると、工事代が思ったより高くつくことがある。

最近、築古戸建ての修繕作業を少しずつやるようになったこともあり、今回は自分で交換してみることにした。

交換用のホースを探してみると、楽天市場で同じような部材が見つかった。

せっかくなので、5のつく日と、お買い物マラソンのタイミングを待って購入した。

ただ、買ったからといって、すぐに作業をするわけではない。

平日は、仕事から帰ると疲れている。

外が暗くなると、途端に作業をする気もなくなる。

部材はしばらく、箱に入ったままになっていた。

それでも、今日はやるぞと決め、16時から作業を始めた。

簡単そうに見えて、外れない

作業自体は、それほど難しくないと思っていた。

ところが、古いホースを取り外すところで苦戦した。

洗面台の下に潜り込み、収納スペースの奥にあるホースの接続部分を外そうとする。

しかし、狭くて手がうまく入らない。

ネジにも力をかけられず、なかなか外れない。

手で無理やり回そうとしても動かない。

持っていたレンチは形が合わず、使えなかった。

結局、小さくて軽いレンチを買うために、途中でホームセンターへ向かった。

家に戻り、もう一度、洗面台の下に潜る。

外して、つないで、確認する。

うまくいかず、またやり直す。

そんなことを繰り返し、作業を始めてから約三時間。

悪戦苦闘しながら、なんとか交換を終えることができた。

業者に頼めば、もっと早かった

お金を払って業者に頼めば、もっと早く、きれいに終わったと思う。

それでも、シャワーホースを交換するという経験を、そのまま誰かに丸投げしてしまうのは、少しもったいない気がした。

AIが進化すればするほど、実際に手を動かせる人の価値は、むしろ高くなるのではないか。

そんなことを、洗面台の下に潜りながら考えていた。

家の中で起きた小さな故障に対して、何も分からず、誰かを呼ぶことしかできない。

それでは、自分の中の「生きる力」のようなものが、なかなか増えていかない気もする。

もちろん、電気やガスなど、無理に自分で触らないほうがいいものもある。

何でも自分でやればいい、という話ではない。

ただ、調べて、道具を買い、失敗しながら直せることもある。

今回は、たまたまその一つだった。

令和の百姓に、少しだけ近づく

昔の人は、暮らしの中のさまざまなことを、自分たちの手でやっていた。

「百姓」という言葉には、百の仕事ができる人という意味があった、と聞いたことがある。

その由来が本当にそうなのかは分からない。

けれど、いくつもの顔や技を持って暮らす姿には、少し憧れる。

会社員として働きながら、畑をやり、家の修繕をして、AIにも触れる。

どれもまだ中途半端で、知らないことばかりだ。

それでも、自分でできることが一つずつ増えていけば、令和なりの「百姓」に少しは近づけるのかもしれない。

今回は、たった一本のシャワーホースを交換しただけだけれど。

三時間もかかったので、自分の中では、なかなか大きな一本だった。

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